【第4回】禁止事項6個と「80点未満は出力しない」でAIっぽさが消えました
AIに何か作らせたとき 「うまいんだけど なんかAIっぽいな」と思ったことはありませんか。
僕はPOP作りでずっとこれに詰まっていました。
そして今回 その原因がやっと分かりました。
指示に「やってほしいこと」しか書いてなかったからです。
今日は AIに「AIが作ったっぽく見えないPOP」を作らせるために何をしたか という話です☺️
そもそもPOPが必要な理由
僕は美容ディーラーの営業をしています。
お得意先のサロン様に商品を卸すのが仕事です。
ただ サロン様の棚に商品を置いてもらえた時点では まだ半分なんです。
そこからお客様に手に取ってもらえないと 商品は動きません。
だから店頭に置くPOPが要ります。
メーカーが作ったPOPもあります。
でも「この商品を この店で どう見せたいか」は現場ごとに違います。
そこを埋める1枚を 自分で作りたかったわけです。
AIに作らせると必ず出てくる「あの感じ」
最初はふつうにAIに頼みました。
商品情報を渡して「A4のPOPを作って」と。
出てくるものは たしかに整っています。
でも毎回 同じ顔をしていました。
黒地にゴールドのグラデーション
全部の要素が真ん中揃え
「01」「02」「03」と番号がついた角丸のカードが3つ並ぶ
影がついていて 書体が3種類くらい混ざっている
たぶん見覚えのある人が多いと思います。
高級感を出そうとした結果 全部が同じ顔になるやつです。
これを店頭に置いたら お客様にもすぐ分かると思いました。
「なんか安っぽいな」と。
高級ブランドの店頭ツールって こうなっていないんですよね。
気づいたこと:AIは「足し算」しかしない
なぜこうなるのか ずっと考えていました。
理由はシンプルでした。
僕が「良くして」としか言っていなかったからです。
AIに「もっと良くして」と言うと AIは要素を足します。
装飾を足す。色を足す。書体を足す。囲みを足す。
一つひとつは間違っていません。
でも足せば足すほど テンプレートっぽくなります。
そしてテンプレートっぽさが「AIっぽさ」の正体でした。
ここで発想を変えました✊
やってほしいことを増やすんじゃなくて 禁止事項を先に決める。
禁止事項を先に書き出した
実際にAIに渡したルールがこれです。
禁止するもの。
黒地×ゴールドのグラデーション
装飾フレーム
全要素を中央揃えにすること
01・02・03の囲みカード
角丸と影の多用
書体3種類以上
そのうえで 守るべきことを決めました。
書体は1種類だけ。文字の太さの違いだけで見出しと本文を分ける
色は0〜1色。基本はグレーだけで組む
伝えたいメッセージは1つに絞る
要素の数は「入れたい量の7割」にする
中央揃えにしない。左揃えで 余白は右か下に寄せる
罫線は細い線1本だけ
写真は紙の端まで裁ち切る
ここで1つ補足です。
この「グレーだけ」「書体1種類」は 全商品共通の正解ではありません。
何色を使うか どの書体にするかは 商品とブランドを見て決めます。
高級シックな商品ならグレーと細いゴシック。オーガニック系なら生成りの紙色に明朝。子ども向けなら明るい色を1色。
固定するのは「数を増やさない」という規律のほうです。
これを渡して作らせたら 出てくるものが完全に変わりました。
この中で 効果が分かりやすかったのがこれです。
紙面の背景色を 商品写真の背景色と同じにする。
写真の四隅の色を平均して その色を紙の色にする。
たったこれだけで「写真を貼り付けた感」が消えます。
紙と写真が1枚の面としてつながって 印刷物っぽい落ち着きが出ます。
これは自分では思いつかなくて 実際に何枚も作って比べてやっと分かりました。
ルールを「採点」させることにした
ただ ルールを書いただけでは足りませんでした。
AIは何回かやり取りしているうちに ルールを忘れます。
そして じわじわ装飾を足し始めます。
なので採点する仕組みを作りました。
出来上がったPOPを機械的にチェックして 減点していきます。
書体が3種類以上 → マイナス20点
色を2色以上使っている → マイナス15点
グラデーションを使っている → マイナス15点
中央揃えが7割を超えた → マイナス15点
角丸の箱が3つ以上 → マイナス10点
文字数が多すぎる → マイナス10点
紙の色と写真の背景色がズレている → マイナス15点
100点満点で 80点未満なら 画像の書き出しに進ませない。
エラーで止まるようにしました。
これが効きました。
「気をつけてね」ではAIは守りません。
守らないと先に進めない仕組みにすると 守ります。
試しにわざと「AIっぽいHTML」を食わせてみたら 30点で止まりました🙆♂️
結果どうなったか
前に手作業で何時間もかけて仕上げたPOPがありました。
サロン専売シャンプーのA4です。
これと同じものを 今回の仕組みで作り直せるかを試しました。
結果は 元の1枚とピクセル単位で一致しました。
手で何時間もかけた仕上がりが 仕組み側で再現できたということです。
しかもこれは 商品情報を書いたファイルを差し替えるだけで 別の商品でも動きます。
1枚のPOPが 何枚でも作れる型に変わりました✊
別の商品でも1枚作りました
型になったと言った以上 本当に別の商品で動くのかも見せておきます。
次に作ったのは サロン専売のドライヤーのPOPです。
実はこの商品 仕組みを作る前にAIに普通に作らせた版が残っていました。
黒地にゴールド 飾り枠 番号つきカード。さっき禁止した要素の全部入りです。
同じ商品を 禁止事項と採点を通して組み直すと こうなりました。
情報はむしろ増えています。
モードの説明も 毛髪の比較写真も 付属ノズルの紹介も入っています。
それでも「AIっぽさ」だけが消えました。
足し算をやめても 伝える量は減らない。
これが分かったのは収穫でした✊
他の業界でも使えるのか試しました
ここまで美容の話をしてきましたが 実は今回 飲食店の卓上POPと 雑貨屋さんのプライスカードでも同じやり方が通るか試しました。
結論から言うと通りました。
崩れたのは写真まわりのルールだけです。
名刺サイズのプライスカードだと 写真を裁ち切りにするやり方がそもそも成立しません。
なので写真を使わず 文字だけで組む版を別に用意しました。
でも「書体は1種類」「色は使わない」「要素は7割」といった引き算の考え方は サイズも業種も選びませんでした。
つまりこの仕組みは 美容じゃなくても動きます。
この話で一番持ち帰ってほしいこと
デザインの話をしてきましたが 本題はそこじゃありません。
AIへの指示は「やってほしいこと」だけだと足りない。
これが今回の学びです。
やってほしいことだけを書くと AIは無限に足し算をします。
その結果が「うまいんだけど なんかAIっぽい」の正体でした。
だから
やってほしいこと
やってほしくないこと
守れているかを機械的に判定する基準
この3つをセットで渡す。
これは文章でも資料でも同じです。
たとえば文章なら「体言止めを使わない」「一文は60字まで」を先に渡して 最後に字数と語尾を数えさせる。
それだけで出てくるものが変わります。
僕はコードが1行も書けません。
でも「何がダサいか」は現場で14年見てきたので分かります。
その”分かること”を禁止事項として言語化できれば AIが形にしてくれます。
言語化さえできれば 作れる。
今回もそれを確認した回になりました☺️
使いたい人はいますか
お店のPOPを自分で作っていて「なんかダサいな」のまま止まっている人は どれくらいいるんでしょうか?
僕は自分の仕事で必要だから作っただけなので 他の業界でどれくらい困っている人がいるのか見当がついていません。
禁止事項のリストと 採点の仕組みと 業種別のテンプレまで込みで 人に渡せる形にはまとまりつつあります。
なので——
もし「うちの店でも使いたい」という人がそこそこいるなら 一式まとめて渡せる形に整えようと思っています。
ピンと来た人は この記事にコメントするか このメールにそのまま返信して 業種だけ教えてもらえると嬉しいです☺️
どの業界の人が困っているかが分かると 先に用意するテンプレの順番が決められます✊
次回は このPOPを実際にサロン様の店頭に置いてもらって どうだったかを書こうと思います。
前回書いた「Discordから動かすAI秘書」のほうも 引き続き反応を見ています✊
まだの方はこちらです。
このSubstackは コードが書けない現場の人間がAIでどこまで作れるか 実証と試行錯誤を書いています。
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